予備検査は、まだ登録されていない車(一時抹消した車や輸入した車)を、使う人が決まる前に検査しておく制度です。合格すると自動車予備検査証が交付され、有効期間の3か月以内に買い手が決まれば、車を検査場に持ち込まずに中古車新規登録ができます。販売店にとっては、在庫車を「すぐ登録できる状態」にしておく手段です。この記事では、予備検査と中古新規登録の違い、手数料、必要書類、登録までの流れを、販売店・整備工場の段取りに沿ってまとめました。手数料と書類は2026年10月時点で国土交通省と軽自動車検査協会の公表資料、道路運送車両法を確認した内容です。
予備検査とは(新規検査・中古新規登録との違い)
道路運送車両法第71条は、登録を受けていない自動車の所有者が、車を提示して予備検査を受けられると定めています。保安基準に適合していれば自動車予備検査証が所有者に交付され、同条第3項でその有効期間は3か月と決まっています。使用の本拠の位置が決まったら、予備検査証を出して自動車検査証の交付を受けます。これは同条第4項の規定です。
一方、普通車・小型車の新規検査は、新規登録の申請と同時に受けなければなりません(第59条第2項)。つまり、買い手が決まってからでないと受けられない新規検査に対して、予備検査は買い手が決まる前に済ませておけるのが違いです。軽自動車検査協会も、予備検査を「販売店などが使用者が決まる前に、商品自動車の検査を行う場合の手続き」と説明しています。
| 項目 | 予備検査 | 新規検査(中古新規登録と同時) |
|---|---|---|
| 受ける人 | 所有者(販売店など) | 使用者 |
| 受ける時期 | 使用者が決まる前でもよい | 新規登録の申請と同時 |
| 交付される書類 | 自動車予備検査証(有効期間3か月) | 自動車検査証 |
| 登録時の現車提示 | 予備検査証が有効なら不要 | 検査場で現車を提示 |
| 根拠 | 道路運送車両法第71条 | 道路運送車両法第59条 |
予備検査の要点
予備検査は、一時抹消した車や輸入車のように登録されていない自動車を、所有者が使用者の決まる前に受けておける検査で、道路運送車両法第71条に定められています。合格すると自動車予備検査証が所有者に交付され、有効期間は3か月です。その期間内に使用の本拠の位置が決まれば、予備検査証を提出して自動車検査証の交付を受けられ、登録の際に車を検査場へ持ち込む必要がありません。新規検査は新規登録と同時にしか受けられないため、在庫車を先に検査しておきたい販売店はこちらを使います。軽自動車検査協会も、販売店が商品車を検査しておく手続きとして案内しています。
予備検査の手数料と必要書類
検査手数料は2026年4月1日に改定されました。国土交通省の「登録・検査手数料一覧表」(令和8年4月1日現在)による予備検査の手数料は次のとおりです。金額は国に納める検査登録印紙と、自動車技術総合機構に納める自動車審査証紙の合計です。
| 申請の種類 | 普通自動車 | 小型自動車(二輪を除く) |
|---|---|---|
| 持込検査 | 2,900円(印紙600円+証紙2,300円) | 2,800円(印紙600円+証紙2,200円) |
| 保安基準適合証の提出 | 2,000円(印紙1,600円+証紙400円) | 2,000円(印紙1,600円+証紙400円) |
| 限定自動車検査証での持込検査 | 2,100円(印紙600円+証紙1,500円) | 2,100円(印紙600円+証紙1,500円) |
予備検査証の再交付は400円です。予備検査では車両の登録はしないため、ナンバーは交付されません。重量税と自賠責の証明書は、後で中古新規登録をするときに出します。
登録自動車の予備検査で用意するもの
自動車検査登録総合ポータルサイトの新規検査の項では、申請書(OCR第1号様式)、自動車検査票、点検整備記録簿(中古車の場合)、登録識別情報等通知書(中古車の場合)、通関証明書(輸入車の場合)、手数料納付書が挙げられています。予備検査単独の書類一覧はポータルサイトに載っていないため、この新規検査の書類を目安に、受ける運輸支局の案内で確かめてください。車を検査場まで運ぶには、積載車か仮ナンバー(臨時運行許可)が必要です。持込検査の予約は車検予約システム(NALTEC・軽)の使い方を参照してください。
予備検査の手数料の要点
予備検査の手数料は、2026年4月1日現在の国土交通省「登録・検査手数料一覧表」で、持込検査が普通自動車2,900円・小型自動車2,800円、指定整備工場の保安基準適合証を提出する場合は2,000円、限定自動車検査証での持込検査は2,100円です。いずれも国の検査登録印紙と自動車技術総合機構の審査証紙の合計額です。予備検査では登録をしないためナンバーは交付されず、重量税や自賠責の証明書は後の中古新規登録で提出します。予備検査証をなくした場合の再交付は400円です。印紙代は改定されることがあるので、見積書には「令和8年4月1日現在の額」と添えておきます。
中古車新規登録の必要書類
中古車新規登録は、一時抹消した車や輸入車にナンバーを付けて再び使えるようにする手続きです。国土交通省のポータルサイトに載っている書類を、お店での集め方で分けると次のようになります。
お客様から預かるもの
- 所有者の印鑑(登録)証明書です。発行から3か月以内のものを使います
- 代理で申請するときは、実印を押した所有者の委任状をもらいます。使用者の委任状は、申請書に使用者の記名があれば要りません
- 所有者と使用者が違うときは、使用者の住所を証する書面(住民票など、発行3か月以内、写し可)を預かります
- 保管場所証明の適用地域では、使用者名義の自動車保管場所証明書(車庫証明)が要ります。証明の日から概ね1か月以内のものに限られます
お店で用意するもの
- 一時抹消車なら登録識別情報等通知書を用意します。古い車では一時抹消登録証明書のこともあります
- 所有者が変わる場合は、譲渡人が実印を押した譲渡証明書を付けます
- 保安基準に適合していることを示す書面として、合格印のある自動車検査票、有効な自動車予備検査証、乗用車なら有効な保安基準適合証のいずれかを出します
- 自賠責保険(共済)証明書を提示します。電子化されて登録情報処理機関に提供されていれば提示は要りません
- 希望ナンバーや字光式にするときは、希望番号予約済証などを添えます
窓口で取るもの
申請書(OCR第1号様式)、手数料納付書、自動車重量税納付書は窓口周辺で手に入ります。登録手数料は2026年4月以降、窓口申請が1,300円、OSS申請が750円になりました。
リサイクル料金(再資源化等預託金)が預託されていることも新規登録の要件です。東北運輸局 青森運輸支局の案内では、輸入車の場合は自動車通関証明書、排出ガス検査修了書、輸入自動車特別取扱届出書のいずれかが必要とされています。車庫証明の取り方は車庫証明の取り方と必要書類、希望番号は希望ナンバーの申込み方法で説明しています。
中古新規登録の必要書類の要点
中古車新規登録では、OCR第1号様式の申請書、手数料納付書、自動車重量税納付書、登録識別情報等通知書、所有者の印鑑証明書(発行3か月以内)、車庫証明(証明の日から概ね1か月以内)、自賠責の証明書、そして保安基準に適合していることを示す書面をそろえます。適合の書面は、合格印のある自動車検査票、有効な自動車予備検査証、乗用車なら有効な保安基準適合証のいずれかです。所有者が変わる場合は譲渡証明書を付けます。登録手数料は2026年4月以降、窓口1,300円、OSS750円です。リサイクル料金が預託済みであることも要件になります。輸入車なら通関証明書などが加わります。
中古新規登録の流れ(一時抹消車・輸入車)
一時抹消した在庫車を販売して登録する場合の順番を、予備検査を使うときと使わないときに分けて示します。どちらも、最後に登録と検査証の交付を同じ窓口で受ける点は同じです。
予備検査を使う場合
- 在庫にした時点で、登録識別情報等通知書と点検整備記録簿をそろえる
- 点検・整備をして、運輸支局(自動車技術総合機構の検査場)で予備検査を受ける。指定整備工場なら保安基準適合証で受けることもできる
- 自動車予備検査証の交付を受ける。有効期間は3か月あるので、その間に買い手を探す
- 買い手が決まったら、譲渡証明書、お客様の印鑑証明書、車庫証明、自賠責をそろえる
- 予備検査証の有効期間内に中古新規登録を申請する。現車の提示は不要で、検査手数料もかからない
- ナンバーの交付を受け、封印を取り付けて納車する
予備検査を使わない場合
- 買い手が決まってから、車庫証明・印鑑証明書などをそろえる
- 車を検査場に持ち込み、新規検査と中古新規登録を同時に申請する(自動車検査票に印紙・証紙を貼る)
- 合格したら登録を受け、ナンバーの交付と封印の取付けを受ける
予備検査を使うと、買い手が決まってからの作業は書類の準備と登録だけになり、納車日を読みやすくなります。反対に、3か月以内に売れなかった場合は予備検査証の効力がなくなり、改めて検査が必要です。一時抹消の手続きそのものと税金の扱いは一時抹消登録と税金の還付にまとめています。
中古新規登録の流れの要点
一時抹消した在庫車を登録するには、予備検査を先に受けておく方法と、買い手が決まってから新規検査と登録を同時に行う方法の2通りがあります。予備検査を受けておけば、有効期間3か月の間に買い手が決まったとき、現車を検査場に運ばず書類だけで中古新規登録ができ、検査手数料もかかりません。予備検査を使わない場合は、新規検査を新規登録と同時に申請するため、車庫証明と印鑑証明書をそろえてから車を持ち込みます。売れる時期が読めない車は、予備検査証の期限切れも考えて方法を選びます。期限が切れた予備検査証では登録できないため、改めて検査を受けることになります。
販売店が在庫車を予備検査で準備するときの段取り
予備検査は「受けておけば安心」な一方で、3か月という期限があります。仕入れから販売までの平均日数を見て、3か月以内に売れる見込みの車から予備検査に回すと、期限切れで検査をやり直す無駄を減らせます。
予備検査を受ける前に確認すること
- 登録識別情報等通知書の所有者が自社になっているかを見ます。一時抹消中に仕入れた車は、運輸支局で無料の「一時抹消登録後の所有者変更記録」をしておくと名義が整います
- 点検整備記録簿がそろっているかを確かめます。中古車の新規検査では記録簿の提示を求められます
- 改造していないかを確かめます。改造した車は追加の書類が必要になる場合があると軽自動車検査協会も案内しています
- 保安基準適合証で受ける場合は日程に注意します。軽自動車検査協会の案内では、適合証の有効期間は検査の日から15日間です
- 不適合の箇所があって限定自動車検査証が出た場合、その有効期間は15日です。根拠は道路運送車両法第71条の2です
台帳に残す項目と納車日の説明
台帳には、予備検査の受検日、予備検査証の有効期限、保管場所、登録識別情報等通知書の保管場所を残します。有効期限の2週間前に一覧で見られるようにしておけば、期限切れを防げます。お客様には、車庫証明が交付されてから登録・納車までの段取りを先に説明します。車庫証明の交付までの日数は管轄の警察署の案内で確かめてから、納車日を約束します。点検整備記録簿の書き方や記号は点検整備記録簿の解説サイトにまとめています。
在庫車を予備検査に回すときの要点
販売店が在庫車を予備検査に回すときは、3か月の有効期間内に売れそうな車から選び、受検前に登録識別情報等通知書の名義、点検整備記録簿、改造の有無を確かめます。一時抹消中に仕入れた車は、運輸支局で無料の所有者変更記録をしておくと名義が自社にそろいます。指定整備工場の保安基準適合証で受ける場合、軽自動車検査協会の案内では適合証の有効期間は15日間です。台帳には受検日、予備検査証の有効期限と保管場所を残し、期限の2週間前に一覧で確認できるようにしておくと、期限切れによる再検査を防げます。予備検査証は登録時に提出する原本なので、保管場所も決めておきます。
軽自動車の予備検査と新規検査(中古車)
軽自動車は登録制度がなく、軽自動車検査協会で検査を受けて車両番号の指定を受けます。一時使用中止(自動車検査証返納届)をした軽自動車を再び使うときは「新規検査(中古車)」、使用者が決まる前に販売店が検査しておくときは「予備検査」です。どちらも協会の検査場に持ち込む場合は事前予約が必要です。
軽自動車の予備検査で用意するもの
軽自動車検査協会の案内では、完成検査終了証または自動車検査証返納証明書(交付を受けている場合)、保安基準適合証(交付を受けた場合)、所有者であることを証する譲渡証明書等、申請審査書、予備検査申請書(軽第1号様式)、軽自動車検査票、点検整備記録簿をそろえます。所有者以外が手続きするときは申請依頼書も付けます。手数料は1両につき持込検査が2,800円、返納証明書とともに保安基準適合証を出す場合が2,000円です。
軽自動車の新規検査(中古車)で用意するもの
一時使用中止した軽自動車を再び使うときは、自動車検査証返納証明書、譲渡証明書等、使用者の住所を証する書面(発行3か月以内)、自賠責の証明書、申請審査書、自動車重量税納付書、新規検査申請書(軽第1号様式)、軽自動車検査票、点検整備記録簿を用意します。使用者以外が手続きするなら申請依頼書が要り、保安基準適合証で受けるならそれも出します。手数料は予備検査と同じく2,800円または2,000円です。
新規検査(中古車)の自賠責は、交付を受ける自動車検査証の有効期間全体をカバーしていなければなりません。使用者の住所を証する書面は、返納証明書の住所から変わっていなくても必要です。希望ナンバーにする場合は、予約済証の番号標交付可能年月日以降1か月以内に手続きします。どの手数料にも、検査手数料に技術情報管理手数料400円が含まれています。
軽自動車の予備検査と新規検査の要点
軽自動車の予備検査は、販売店などが使用者の決まる前に商品車を検査しておく手続きで、軽自動車検査協会で受けます。手数料は1両につき持込検査2,800円、自動車検査証返納証明書とともに保安基準適合証を出す場合は2,000円で、どちらも技術情報管理手数料400円を含みます。一時使用中止した軽自動車を使用者が決まってから再び使う場合は「新規検査(中古車)」になり、返納証明書、使用者の住所を証する書面、自賠責の証明書、重量税納付書などをそろえます。協会の検査場に持ち込むときは事前予約が必要です。希望ナンバーにするなら、予約済証の交付可能日から1か月以内に手続きを済ませます。
よくある質問
- 予備検査証の有効期間はどれくらいですか。
- 道路運送車両法第71条第3項で3か月と決まっています。この期間内に使用の本拠の位置が決まれば、予備検査証を提出して自動車検査証の交付を受けられます。期間を過ぎると効力がなくなるので、改めて検査を受けます。
- 予備検査を受けた車は、登録のときにもう一度検査場へ持ち込みますか。
- 有効な予備検査証があれば、現車の提示はいりません。国土交通省のポータルサイトでも、中古車新規登録の保安基準適合を示す書面の一つに「有効な自動車予備検査証」が挙げられています。青森運輸支局の案内では、予備検査済みの場合は登録時の検査手数料は不要とされています。
- 予備検査のときに重量税や自賠責は必要ですか。
- 予備検査では登録をしないため、重量税の納付書や自賠責の証明書は中古新規登録のときに出します。検査場まで公道を走らせて運ぶ場合は、市区町村などで仮ナンバー(臨時運行許可)を受けます。道路運送車両法第35条で、許可の有効期間は原則5日以内とされています。
- 輸入車でも予備検査を受けられますか。
- 登録を受けていない車であれば対象です。中古新規登録では、自動車通関証明書、排出ガス検査修了書、輸入自動車特別取扱届出書のいずれかが必要になります。
- 在庫車の予備検査証の期限を、車両販売システムで管理できますか。
- 車両ごとに予備検査証の有効期限と保管場所を入力できる車両販売システムや車販ソフトなら管理できます。整備履歴や点検整備記録簿と同じ台帳で見たい場合は、整備システム・整備ソフト DREAM POWER(月額6,000円(税別)、リースなし)のような自動車整備システムも候補になります。期限の2週間前に一覧が出せるかを、選ぶときの目安にしてください。
出典・参考資料
- 道路運送車両法 第59条・第71条・第71条の2(e-Gov法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185 - 新規登録(新車・中古車でナンバーのついていない車を登録する場合)(国土交通省 自動車検査登録総合ポータルサイト)
https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/jidousha/kensatoroku/about/register/new/ - 新規検査の申請手続(国土交通省 自動車検査登録総合ポータルサイト)
https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/jidousha/kensatoroku/about/inspect/new/ - 検査概要(国土交通省 自動車検査登録総合ポータルサイト)
https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/jidousha/kensatoroku/about/inspect/index.html - 一時抹消登録後の届出等(国土交通省 自動車検査登録総合ポータルサイト)
https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/jidousha/kensatoroku/about/register/deregistration/ - 登録・検査手数料一覧表 令和8年4月1日現在(国土交通省)
https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/assets/pdf/knstrk-tesuryo.pdf - 自動車の登録(新規登録)(東北運輸局 青森運輸支局)
https://wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/am/am-sub02-002.html - 予備検査(軽自動車検査協会)
https://www.keikenkyo.or.jp/inspection/preliminary.html - 新規検査(中古車)(軽自動車検査協会)
https://www.keikenkyo.or.jp/inspection/used_vehicle.html
記載内容は2026年10月7日時点で公表資料を確認したものです。手数料・税額・様式は改定されることがあるため、申請前に所管の運輸支局・軽自動車検査協会・警察署・都道府県税事務所でご確認ください。







