仮ナンバーは、正式には臨時運行許可番号標といい、車検の切れた車や登録していない車を、検査や登録、整備のために決まった経路だけ走らせるための許可と一緒に貸し出されるナンバーです。申請先は市区町村の窓口か運輸支局等で、許可は必要最小限の日数(最大5日)に限られ、期間が終わったら5日以内に返さなければなりません。練馬区や近畿運輸局の案内では手数料は1件750円です。車検切れの車をお客様の自宅から工場へ入れるときなど、整備工場で使う場面は少なくありません。この記事では、申請の書類、窓口での書き方、返却までの段取りを、お店が手続きを引き受ける前提でまとめます。
仮ナンバー(臨時運行許可)とは
臨時運行許可は、道路運送車両法第34条と第35条に定められた制度です。許可を受けた車を、臨時運行許可証に書かれた目的と経路のとおりに走らせる場合に限り、登録(第4条)、ナンバーの表示(第19条)、車検証の交付(第58条第1項)、車検証の備え付け(第66条第1項)の規定が適用されません。軽自動車にも第73条第2項で準用されます。
許可できるのは、第35条で次の場合に限られています。
- その車の試運転を行う場合
- 新規登録、新規検査、車検が切れた車の継続検査などを受けるために、運輸支局等へ車を持ち込む(回送する)場合
- その他、特に必要がある場合
近畿運輸局と北海道運輸局は、車検切れの車やナンバーの付いていない車を「単に運行する目的では許可できない」と明記しています。練馬区は、試乗会や展示会での使用は試運転の範囲を外れるため許可できないとしています。お客様から「仮ナンバーで乗って帰りたい」と言われたときは、この線引きを説明します。
臨時運行許可の要点
仮ナンバー(臨時運行許可番号標)は、道路運送車両法第34条・第35条に基づき、車検切れの車や未登録の車を検査・登録・整備などのために決まった経路だけ走らせる許可と一緒に貸し出されるナンバーです。許可するのは地方運輸局長、市と特別区の長、政令で定める町村の長で、窓口は市区町村役場や運輸支局等になります。有効期間は第35条第3項で5日を超えてはならないとされ、実際には目的と経路から必要最小限の日数で許可されます。練馬区の案内では、都内と近県で整備のための回送は1日、検査・登録のための回送は1〜2日が通常です。赤い斜線の入ったプレートで、許可証を車に備え付けて走ります。
仮ナンバーの申請先と受付時間
申請先は、市区町村の担当窓口(市民課、区民事務所など)か運輸支局等です。近畿運輸局と北海道運輸局は、運輸局の本局の庁舎(大阪合同庁舎、札幌第4合同庁舎)では申請できないと注意を出しています。
市区町村の窓口に申請するときは、運行経路にその市区町村が含まれていることが条件になるのが一般的です。練馬区は「運行経路に練馬区が含まれることが貸し出しの条件」と明記しています。お客様の自宅、工場、運輸支局のどこかがある市区町村に申請すると考えておけば、窓口選びで迷いません。
受付時間は自治体ごとに違います。練馬区では練馬区民事務所が平日午前8時30分〜午後7時と土曜午前9時〜午後5時、ほかの区民事務所は平日午前8時30分〜午後7時です(祝休日と12月29日〜1月3日を除く)。夜間窓口では扱っていません。申請する窓口のページで、受付時間と土曜の取り扱いを先に確かめておきます。
練馬区は、翌日早朝から走らせる場合や運行日が閉庁日の場合を除き、原則として運行日当日に申請するよう求めています。前日に取りに行けるかどうかは窓口によって違うので、予定が決まったら電話で確認しておくと安全です。
仮ナンバーの申請に必要な書類
必要書類は、申請書、車を確認できる書類、自賠責保険証明書、申請者の本人確認書類が基本です。近畿運輸局と練馬区の案内をまとめると次のようになります。
| 書類 | 内容 | 誰が用意するか |
|---|---|---|
| 臨時運行許可申請書 | 使用期間、目的、運行経路、車の情報を書く。窓口にも置いてある | お店で作成(申請者の署名が原則) |
| 車を確認できる書類 | 自動車検査証(電子車検証は記録事項も)、登録識別情報等通知書(一時抹消登録証明書)、有効な予備検査証、譲渡証明書、自動車検査証返納証明書、通関証明書、車台番号の拓本など | お客様から預かる(在庫車はお店) |
| 自動車損害賠償責任保険(共済)証明書 | 原本。許可期間中ずっと有効なもの | お客様から預かる、または新たに加入 |
| 本人確認書類 | 運転免許証、マイナンバーカード、在留カードなど | 申請者 |
| 手数料 | 練馬区・近畿運輸局の案内では1件750円。札幌運輸支局では収入印紙で納付 | お店で立て替えることが多い |
電子車検証の車の場合、近畿運輸局は提示物の例として「電子車検証(本通)のみ」か「自動車検査証記録事項と車台番号の拓本の両方」を挙げています。練馬区は、令和5年1月以降に電子車検証を受けた車は記録事項も一緒に持ってくるよう案内しています。電子車検証の記録事項については、姉妹サイトの電子車検証の解説サイトで詳しく説明しています。
臨時運行許可申請書の書き方
申請書で窓口が見るのは、使用期間、使用目的、運行経路の3つです。近畿運輸局は、運行期間を必要最少の日数(5日が上限、同一市内なら1日など)、運行経路を出発地から到着地までの必要かつ合理的な最短経路としています。
- 使用目的:「継続検査のための回送」「整備のための回送」「新規登録のための回送」など、第35条の区分に合わせて具体的に書く
- 運行経路:お客様の自宅、工場、運輸支局など、出発地と到着地を住所で書く。寄り道になる経路は書かない
- 使用期間:車検場の予約日や入庫日に合わせ、必要な日数だけにする
- 車の情報:車名、車台番号を車検証や登録識別情報等通知書と一字ずつ照合する
法人名義で申請する場合、練馬区では社印と代表者印が必要です。申請書は原則として署名で、法人や署名が難しい人は記名・押印になります。
自賠責保険の期間に注意
仮ナンバーの申請では、自動車損害賠償責任保険(共済)証明書の原本が必要で、許可期間中ずっと有効なものに限られます。練馬区の案内によると、自賠責保険の契約期間は最終日の正午で終わるため、自賠責の終期の日は許可できません。たとえば自賠責の終期が10月15日なら、仮ナンバーを使えるのは10月14日までと考えます。車検切れの車は自賠責も切れていることがあるので、申請の前に車検証と自賠責証明書の日付を両方見て、切れていれば許可期間をまかなえる自賠責に先に加入しておきます。受付でこの確認を飛ばすと、窓口で書類がそろわず、その日の回送を組み直すことになります。
仮ナンバーの取り方:申請から返却までの手順
車検切れの車をお客様の自宅から工場へ入れ、整備後に運輸支局で継続検査を受ける場合を例に、お店の作業を並べます。
- お客様から車検証(電子車検証なら記録事項も)と自賠責保険証明書を預かり、両方の有効期間を確認する
- 自賠責が切れていれば、運行する期間をまかなえる自賠責に加入する
- 回送の日程と経路(自宅から工場、工場から運輸支局)を決める。検査を受けるなら車検場の予約も先に取る
- 経路に含まれる市区町村の窓口か運輸支局等で臨時運行許可申請書を出し、手数料を納める
- 臨時運行許可証と臨時運行許可番号標(仮ナンバー)を受け取る
- 仮ナンバーを前後の決められた位置に付け、許可証を車に備え付けて、許可された経路だけを走る
- 有効期間が終わったら、5日以内に申請した窓口へ許可証と仮ナンバーを返す
申請書には使用期間、使用目的、運行経路を書くため、練馬区は事前に車検場の予約などの計画を立ててから申請するよう求めています。工場への入庫と運輸支局への持ち込みが数日離れる場合は、まとめて1回で取るより、それぞれの日に分けて申請したほうが許可日数に収まりやすくなります。許可の日数は窓口が目的と経路から決めるので、事情を伝えて相談します。
車検切れの車の扱い全体(車検切れで走った場合の罰則、入庫の受け方)は、既存ガイドの車検切れの車の対応にまとめています。この記事では申請の手続きに絞っています。
返却期限と返し忘れの罰則
道路運送車両法第35条第6項により、臨時運行の許可を受けた人は、有効期間が満了した日から5日以内に、許可した行政庁へ臨時運行許可証と臨時運行許可番号標を返納しなければなりません。返さなかった場合は第108条により6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です。近畿運輸局は、悪質な場合は許可番号を抹消し警察へ告発すると注意しています。また、目的外の運行は無車検運行となり、同じく第108条の罰則の対象になります。練馬区は、仮ナンバーを亡くしたり壊したりした場合は弁償を求めることがあるとしています。お店で申請したときは、返却予定日を作業指示書や台帳に書き、返却した日と窓口の担当も残しておくと、返し忘れを防げます。
整備工場・販売店で仮ナンバーを使う場面
| 場面 | 目的(第35条の区分) | 段取りの注意 |
|---|---|---|
| 車検切れの車を工場へ入庫する | 整備のための回送 | 自賠責の期間を最初に確認。入庫日に合わせて申請 |
| 整備後、運輸支局で継続検査を受ける | 継続検査のための回送 | 車検場の予約日を確定してから申請。保安基準に適合しているか事前に点検 |
| 一時抹消中の在庫車を登録する | 新規検査・新規登録のための回送 | 登録識別情報等通知書(一時抹消登録証明書)で車を確認。登録の流れは別記事 |
| ナンバーのない車を試運転する | 試運転 | 試乗会・展示会は対象外(練馬区) |
一時抹消中の在庫車を登録し直す流れは予備検査と中古新規登録の流れで、お客様が自分で運輸支局に持ち込む場合はユーザー車検の流れと必要なもので説明しています。登録で車庫証明が要る場合は車庫証明の取り方もあわせて確認してください。
自動車の回送を業として行う事業者には、別の制度として回送運行許可(道路運送車両法第36条の2)があります。地方運輸局長が許可するもので、許可の有効期間は5年を超えない範囲です。申請のたびに市区町村へ行く臨時運行許可とは仕組みが違うため、回送の件数が多い場合は管轄の運輸局に要件を問い合わせてください。
仮ナンバーの申請で窓口から戻されやすい点
- 自賠責保険証明書がコピーで、原本を持っていない
- 自賠責の終期が許可期間に含まれている(終期の日は許可できない)
- 運行経路に申請先の市区町村が入っていない
- 目的が「乗って帰るため」「試乗のため」など、許可の対象外
- 電子車検証の記録事項や車台番号の拓本がなく、車を確認できない
- 法人申請で社印・代表者印を持っていない
代行料をお客様に説明するときは、窓口に納める手数料(750円の例)と、申請と返却の2回分の窓口往復、回送の運転を分けて示すと伝わりやすくなります。返却は有効期間満了後5日以内なので、回送の翌営業日に返すと決めておくと台帳の管理が楽です。
よくある質問
- 仮ナンバーはどこで借りられますか?
- 市区町村の担当窓口か運輸支局等で申請します。市区町村の窓口では、運行経路にその市区町村が含まれていることが条件になります。運輸局の本局の庁舎では申請できないと案内している運輸局もあります。
- 仮ナンバーの有効期間は何日ですか?
- 道路運送車両法第35条で5日を超えてはならないとされています。実際は目的と経路から必要最小限の日数で許可され、同じ市内なら1日が目安と北海道運輸局は案内しています。
- 仮ナンバーの手数料はいくらですか?
- 練馬区と近畿運輸局の案内では1件750円です。納付方法は窓口によって違い、札幌運輸支局は収入印紙で納めます。申請する窓口で確認してください。
- 車検切れの車を仮ナンバーで自宅に乗って帰れますか?
- 単に運行する目的では許可できないと運輸局が案内しています。許可の対象は試運転、検査や登録のための回送、その他特に必要がある場合に限られます。
- 仮ナンバーの返却期限を自動車整備システムで管理するにはどうすればいいですか?
- 車両の台帳や作業指示書に、許可番号、有効期間、返却予定日を入れておくと、入庫中の車と一緒に返却漏れを確認できます。整備と車両販売の台帳を一つにまとめる方法として、整備システム・整備ソフト DREAM POWER(月額6,000円(税別)、リースなし)のような自動車整備システムで、満了日や手続きの履歴を車両ごとに残しておくやり方があります。
出典・参考資料
- 道路運送車両法 第34条〜第36条の2、第73条、第108条(e-Gov法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185 - 臨時運行許可(近畿運輸局)
https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/shaken/rinjiunkou.html - 臨時運行許可(北海道運輸局)
https://wwwtb.mlit.go.jp/hokkaido/touroku/01_sinnsei/10_sonota/04_rinzi_unkou/rinzi_unkou_01.html - 自動車の臨時運行許可(仮ナンバー)(練馬区)
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kurashi/sumai/baiku/kari_nan.html
記載内容は2026年10月7日時点で公表資料を確認したものです。手数料・税額・様式は改定されることがあるため、申請前に所管の運輸支局・軽自動車検査協会・警察署・都道府県税事務所でご確認ください。







