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整備工場の実務ガイド

廃車手続きの流れと必要書類|永久抹消登録・解体届出・軽自動車の解体返納を整備工場の段取りで整理

公開:2026年10月7日 日本カーネット株式会社

廃車手続きは、車を引取業者に渡して終わりにはなりません。自動車リサイクル法の流れで解体が終わり、その報告(解体報告記録)が情報管理センターに登録されてから、運輸支局で永久抹消登録をするか、軽自動車なら軽自動車検査協会で解体返納をして、ようやく完了です。この記事では、整備工場や販売店がお客様の代わりに廃車を進めるときの順番を、窓口・期限・必要書類・費用の順にまとめました。書類はお客様から預かるもの、お店で用意するもの、窓口で取るものに分けています。手数料と書類は2026年10月時点で国土交通省・軽自動車検査協会・国税庁の公表資料を確認した内容です。

廃車手続きの種類と窓口(永久抹消登録・解体届出・解体返納)

「廃車」は通称で、法律上の手続き名は車の種類と、すでに一時抹消(軽自動車は返納)をしているかどうかで変わります。受付で最初に確かめるのは、ナンバーが付いたままの車か、すでにナンバーを外して一時抹消してある車か、の2点です。ここを取り違えると、申請書の様式も窓口も変わってしまいます。

車と状態手続き名窓口手数料(2026年10月時点)
普通車・小型車(ナンバー付き)永久抹消登録(OCR第3号様式の3)使用の本拠の位置を管轄する運輸支局・自動車検査登録事務所無料
普通車・小型車(一時抹消済み)解体届出(一時抹消登録後の解体届出)最寄りの運輸支局・自動車検査登録事務所無料
軽自動車(ナンバー付き)解体返納(軽第4号様式の3)使用の本拠の位置を管轄する軽自動車検査協会の事務所・支所無料
軽自動車(車検証返納済み)解体届出最寄りの軽自動車検査協会の事務所・支所無料

窓口の区分は、国税庁の重量税還付Q&Aにある提出先の表と、国土交通省の自動車検査登録総合ポータルサイトの手続き案内に合わせています。手数料は令和8年4月1日現在の「登録・検査手数料一覧表」で、永久抹消登録と一時抹消後の解体届出はどちらも無料です。軽自動車の解体返納と解体届出も、軽自動車検査協会の案内で無料とされています。

廃車手続きの種類と窓口の要点

廃車手続きは、普通車・小型車なら運輸支局での永久抹消登録、一時抹消済みの車なら解体届出、軽自動車なら軽自動車検査協会での解体返納(返納済みなら解体届出)の4通りです。どれも手数料は無料で、令和8年4月1日現在の国土交通省「登録・検査手数料一覧表」でも永久抹消登録と一時抹消後の解体届出は無料と明記されています。ナンバー付きの車は使用の本拠の位置を管轄する窓口、一時抹消済み(軽は返納済み)の車は最寄りの窓口で受け付けます。どの手続きも、引取業者から解体報告記録がなされたと知らされてからでないと申請できません。受付ではまず「ナンバーが付いているか」と「車種区分」を確かめ、様式と窓口を決めます。

自動車リサイクル法による廃車の流れ(引取業者から解体報告記録まで)

2005年(平成17年)1月から、使用済自動車は自動車リサイクル法のルートに乗せることになりました。永久抹消登録の申請書には「解体報告記録がなされた日」と「移動報告番号」を書く欄があり、この2つが手元にそろわないと運輸支局の窓口に行っても受け付けてもらえません。流れを順に並べると次のとおりです。

  1. お客様(最終所有者)が、都道府県知事等に登録した引取業者へ使用済自動車を引き渡す。リサイクル券(預託証明)も一緒に渡す
  2. 引取業者がリサイクル料金の預託を確認し、最終所有者に「使用済自動車引取証明書」を交付する。移動報告番号はこの書面のリサイクル券番号で確認できる
  3. 引取業者はフロン類があればフロン類回収業者へ、なければ解体業者へ引き渡す。各業者は引取り・引渡しから3日以内に電子マニフェストで情報管理センターへ報告する
  4. 解体業者が解体し、解体報告が情報管理センターに記録される(解体報告記録)
  5. 引取業者が解体報告記録を確認し、所有者に知らせる(道路運送車両法第15条第2項)
  6. 所有者は、解体報告記録を知った日から15日以内に永久抹消登録(一時抹消済みなら解体届出)を申請する

15日以内という期限は道路運送車両法第15条第1項(一時抹消済みの車は第16条第2項、軽自動車は第69条の2)に書かれています。引取業者は新車・中古車販売業者や整備業者が登録しているケースも多く、長野県の解説では「中古車として買い取るか、使用済自動車として引き取るかを明確にする」ことが引取業者の行為義務として挙げられています。自社が引取業者の登録をしているかどうかで、お客様に渡す書類が変わる点に注意してください。

リサイクル券をなくしたお客様には、自動車リサイクル促進センターのサイトで「自動車リサイクル料金の預託状況」を印刷してもらえば、リサイクル券の代わりとして使えます。引き渡した車がいまどの段階にあるかは、同じサイトの「使用済自動車処理状況検索」で確かめられます。

解体報告記録と移動報告番号の要点

永久抹消登録と解体届出の申請書には、解体報告記録がなされた日と移動報告番号を書く必要があります。移動報告番号は、引取業者が交付する「使用済自動車引取証明書」に載っているリサイクル券番号のことです。自動車リサイクル法では、引取業者・フロン類回収業者・解体業者がそれぞれ引取り・引渡しから3日以内に情報管理センターへ電子マニフェストで報告し、解体業者の報告が記録されると引取業者から所有者へ連絡が入ります。所有者は、その連絡を受けた日から15日以内に申請しなければなりません(道路運送車両法第15条)。廃車を受けたら、引取証明書の写しと連絡を受けた日を必ず控えておきます。

永久抹消登録の必要書類(普通自動車・小型自動車)

永久抹消登録は、所有者本人が申請する場合は実印、代理人が申請する場合は実印を押した委任状を使います。お店が代行するときは委任状をもらう形になるので、受付の時点で印鑑証明書と委任状の両方を案内しておくと二度手間を防げます。

区分書類・もの注意すること
お客様から預かるもの自動車検査証(車検証)限定自動車検査証が出ている車はそちら
お客様から預かるもの所有者の印鑑(登録)証明書発行から3か月以内
お客様から預かるもの所有者の委任状(実印を押印)重量税還付の委任項目も同じ委任状に入れられる
お客様から預かるもの住所・氏名のつながりがわかる書面車検証と印鑑証明書で住所・氏名が違うときだけ。住民票、除票、戸籍の附票、戸籍謄本、法人は登記事項証明書など
お店で用意するもの前後のナンバープレート(自動車登録番号標)紛失・盗難時は届出警察署名・届出日・受理番号を書いた理由書
お店で用意するもの移動報告番号と解体報告記録日使用済自動車引取証明書と引取業者からの連絡で確認
窓口で取るもの永久抹消登録申請書(OCR第3号様式の3)、手数料納付書手数料は無料。重量税還付申請書を兼ねた様式

車検証の所有者が個人で、マイナンバーの記入が必要な場面では、所有者の番号確認と代理人の身元確認書類も求められます(青森運輸支局の案内)。事業用ナンバーやレンタカーなら、事業用自動車等連絡書も追加になります。

所有権留保の車と相続の車

ローンで買った車は、車検証の所有者がローン会社や販売会社になっていることがあります。この場合、書類をそろえるのは車検証上の所有者です。紙の車検証では左上の番号欄の末尾が「B」、電子車検証では車検証閲覧アプリで確かめられる「Bタイプ」なら、備考欄の所有者情報が変わっていることもあるので、リース会社などに確認してから書類を頼みます。所有者が亡くなっている場合は、相続人のうち1名の申請でも受理され、相続による移転登録は不要です。このときは被相続人の死亡と相続関係がわかる戸籍謄本などを添付します(自動車検査登録総合ポータルサイトの永久抹消登録の項)。

永久抹消登録の必要書類の要点

普通車・小型車の永久抹消登録で必要なのは、車検証、所有者の印鑑証明書(発行から3か月以内)、実印を押した委任状、前後のナンバープレート、そして申請書に書く移動報告番号と解体報告記録日です。申請書はOCR第3号様式の3で、手数料は無料です。車検証と印鑑証明書で住所や氏名が違うときは、住民票や戸籍の附票などでつながりを示します。所有者がローン会社の車は、その会社に書類を依頼します。所有者が亡くなっている場合は相続人1名からの申請も受理されます。受付時に車検証の所有者欄を写真で残し、印鑑証明書の住所と比べておくと、窓口での差し戻しを減らせます。

軽自動車の解体返納と解体届出(軽自動車検査協会)

軽自動車は運輸支局ではなく軽自動車検査協会で手続きします。ナンバーが付いたまま解体した車は「解体返納」、すでに自動車検査証返納届(一時使用中止)を済ませた車を解体した場合は「解体届出」です。軽自動車は実印・印鑑証明書が要らず、代わりに「申請依頼書」を使う点が登録車と大きく違います。

解体返納では、車検証の原本、移動報告番号、ナンバープレート、解体届出書(軽第4号様式の3)をそろえ、使用の本拠の位置を管轄する事務所・支所・分室に出します。黒ナンバーの車は事業用自動車等連絡書も要ります。解体届出なら、移動報告番号と解体届出書だけで済み、最寄りの事務所・支所・分室で受け付けます。どちらも、所有者以外が手続きするときは申請依頼書を付けます(軽自動車検査協会の案内)。

ナンバーを紛失している場合は「車両番号標未処分理由書」を出します。軽自動車税の申告書は軽自動車検査協会の窓口ではなく、隣接する税関係の窓口で受け取ります。郵送で解体届出を受け付ける「送付による解体届出」も用意されているので、遠方のお客様の返納済み車両を扱うときは検討してください。

軽自動車の解体返納の要点

軽自動車を解体したときは、軽自動車検査協会で「解体返納」を行います。必要なのは車検証の原本、移動報告番号、ナンバープレート、解体届出書(軽第4号様式の3)で、お店が代わりに手続きするときは所有者の申請依頼書を付けます。手数料は無料です。すでに自動車検査証返納届(一時使用中止)をしていた車なら「解体届出」になり、車検証とナンバーは不要で、最寄りの事務所で受け付けます。どちらも、引取業者から解体完了(解体報告)の連絡を受けてから申請します。車検の残りが1か月以上あれば、解体返納と同時に自動車重量税の還付申請もできます。還付には振込口座とマイナンバーの記載が必要で、代理人が出すときは所有者の番号確認書類の写しも求められます。

ナンバープレート返納と自動車重量税の還付

永久抹消登録を受けたら、所有者はナンバーと封印を外して返納します(道路運送車両法第20条)。実務では申請と同じ日に運輸支局構内の標板の窓口へ前後2枚を持ち込みます。引取業者に車を渡す前にナンバーを外しておくかどうかは、業者との取り決め次第なので、引渡しのときに確認しておきます。

重量税還付の条件

還付額は「納付された自動車重量税額×車検残存期間÷車検有効期間」で計算します。国税庁の例では、納付額24,600円・2年車検・残り5か月で5,125円です。一時抹消をしていない車の残存期間は永久抹消登録日の翌日から数えるため、解体報告の連絡を受けてから申請が遅れるほど、還付額は減ります。還付金は申請からおおむね2か月半程度で、最終所有者の住所を所轄する税務署から支払われます。

普通車・小型車の自動車税(2026年4月に自動車税種別割から名称変更)は、抹消登録をした月の翌月から3月分までが月割で還付されます。軽自動車税には月割の還付がありません。税金の扱いは一時抹消の記事で詳しくまとめています(一時抹消登録と自動車税・重量税の還付)。

重量税還付の要点

自動車重量税の廃車還付は、自動車リサイクル法で解体された車について、解体を理由とする永久抹消登録または解体届出と同時に申請した場合だけ受けられます。車検残存期間が1か月以上あることが条件で、還付額は納付税額×残存月数÷有効期間月数です。国税庁の計算例では24,600円・2年車検・残り5か月で5,125円になります。受け取るのは引取業者に引き渡した時点の所有者で、所有権留保の車は販売会社側です。永久抹消登録を済ませた後から還付申請だけを出しても受け付けられないため、受付時に振込口座とマイナンバー関係の書類を先にそろえておきます。支払いまではおおむね2か月半かかります。

下取り車・入庫車を廃車にするときの店側の段取り

整備工場や販売店が廃車を扱うのは、乗り換えの下取り車、修理見積りで修理を断念した事故車、長く動かしていない車検切れの入庫車などです。車検切れの車を引き取りに行く段取りは車検切れの車を入庫するときの対応を、公道を走らせて運ぶ場合は仮ナンバー(臨時運行許可)の取り方を参照してください。

受付で確認すること

  1. 車検証の所有者と使用者。所有者がお客様本人か、ローン会社・販売会社か
  2. 車検証の住所・氏名と、印鑑証明書の住所・氏名が一致しているか
  3. ナンバーが付いているか、すでに一時抹消(軽は返納)済みか
  4. 車検の満了日。残りが1か月以上あれば重量税還付の口座とマイナンバー関係書類を案内する
  5. リサイクル券の有無。なければ預託状況の印刷で代用できることを伝える
  6. 還付金をお客様が受け取るか、お店が受け取るか。お店が受け取るなら受領権限の委任状をもらう

よくある差し戻し

代行料の説明と台帳に残す項目

手数料が無料の手続きでも、書類の取り寄せや窓口への往復には手間がかかります。代行料は「窓口に払う法定費用(永久抹消登録は無料)」と「お店の作業料」を分けて見積書に書くと、お客様に説明しやすくなります。還付金はお客様の口座に国から振り込まれるもので、お店の値引きとは別物だと伝えておくと後で揉めません。

台帳には、引渡し日、引取業者名、移動報告番号、解体報告記録日、抹消登録日、還付申請の有無、還付金の受取人を残しておきます。解体報告記録の連絡を受けた日から15日以内という期限があるので、連絡日も記録しておくと申請漏れを防げます。一時抹消して在庫にした車を後で登録し直す場合は予備検査と中古新規登録の流れを、名義変更(移転登録)の書類は中古車販売店向けの名義変更の解説を参照してください。

下取り車の廃車で店がやること

下取り車や入庫車を廃車にするとき、お店は「中古車として買い取るのか、使用済自動車として引き取るのか」を最初にお客様と決めます。長野県の自動車リサイクル法の解説でも、引取業者はこの区別を明確にすることが求められています。使用済自動車として扱うなら、引取証明書の交付、移動報告番号の控え、解体報告記録の確認、15日以内の永久抹消登録という順で進みます。受付では所有者、住所のつながり、車検の残り期間、リサイクル券の有無を確認し、台帳には引取業者名・移動報告番号・抹消登録日・還付金の受取人を残し、解体報告記録の連絡を受けた日から15日の期限を管理します。

よくある質問

廃車にした車の永久抹消登録に手数料はかかりますか。
かかりません。令和8年4月1日現在の国土交通省「登録・検査手数料一覧表」で、永久抹消登録と一時抹消後の解体届出は無料です。軽自動車の解体返納・解体届出も軽自動車検査協会の案内で無料とされています。ナンバーの返納にも費用はかかりません。
引取業者に車を渡した日に、そのまま永久抹消登録はできますか。
できません。解体が終わって解体報告記録が情報管理センターに記録され、それを引取業者から知らされてから申請します。申請書には解体報告記録日と移動報告番号を書く必要があり、期限は記録を知った日から15日以内です。
永久抹消登録のあとで重量税の還付申請だけ出せますか。
原則としてできません。国税庁のQ&Aでも、還付申請は解体を理由とする永久抹消登録申請または解体届出と同時に行うこととされています。受付時に車検の残り期間を確認し、1か月以上あれば振込口座の情報を先にもらっておきます。
軽自動車の廃車でも印鑑証明書は要りますか。
軽自動車の解体返納では印鑑証明書や実印は求められていません。所有者以外が手続きする場合は申請依頼書を付けます。車検証の原本、移動報告番号、ナンバープレート、解体届出書(軽第4号様式の3)を用意してください。
廃車や抹消登録の履歴を、自動車整備システムで管理しておく意味はありますか。
あります。下取り車の引渡し日、移動報告番号、抹消登録日、還付金の受取人を車両ごとに残しておけば、お客様から「あの車の還付はどうなったか」と聞かれたときにすぐ答えられます。顧客と車両の台帳を一つの自動車整備システムで持つ方法は、整備システム・整備ソフト DREAM POWER(月額6,000円(税別)、リースなし)でも案内しています。車販ソフトや整備ソフトのおすすめを比べる前に、まず台帳に残したい項目を書き出しておくと選びやすくなります。

出典・参考資料

記載内容は2026年10月7日時点で公表資料を確認したものです。手数料・税額・様式は改定されることがあるため、申請前に所管の運輸支局・軽自動車検査協会・警察署・都道府県税事務所でご確認ください。

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